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革から入るモノ選び!牛、豚、馬、鹿…そのちがいとは?

更新日時:2020/08/18

 

世の中には数多くの革製品があり、さまざまな動物の革が使われています。財布や名刺入れ、鞄、靴、革ジャンなどの身に着けるもの。さらに、車のハンドルや、ソファ、手帳カバーなど、周りを見渡せば、いろんなところで革を見つけることができるはずです。 

普段なにげなく使っている革がどんな動物の革なのか、知っていますか?実は牛革だと思っていたら、合成皮革だったり、1つの革小物に複数の革が使われていることもあります。ワニ革だと思っていたら、実は型押しだったなんてもこともあるかもしれません。

革についての知識が深まることで、これまでのモノの選び方や、扱い方も大きく変わってくるはずです。少しだけ革について深く知ってみませんか?

 

1.大きくて丈夫、高級感もある『牛革』

革の代名詞でもある牛革は、幅広い製品に使われます。なぜこれほど牛が使われるかというと、牛肉がたくさん食べられており、革のサイズが大きいから。 

[1] 牛肉の消費量が多い
[2] 牛のサイズが比較的大きい=1枚の革から、多くの製品が作れる

牛革は成長段階によって、革の呼び名が下記のように変わります。

●生後6カ月前後の仔牛の革=「カーフ」
●生後6カ月から2年余りの中牛の革=「キップ」
●生後3〜6ヵ月以内に去勢したオスで2歳以上の成牛=「ステア」

月齢が若いほど、傷も少なくきめ細かい美しい革ですが、価格もそれに比例して高くなります。牛革の製品を買う際には、どれくらいの品質のものを選ぶかによっても価格帯がかわってきます。


▲牛の革を半分に切ったもの。右側が頭。生後6ヶ月−2年の中牛の革であるキップ。カーフに次いで、傷が少なく美しい革。

 

牛革を選ぶポイント
牛革は傷やシボ(シワ)が比較的少ないので、見た目が美しいのが特徴です。
牛の月齢、なめし方など、とにかく選択肢が幅広くあります。自分なりの個性を演出しましょう。

 

 

2.日本を代表するレザー『豚革』

日本で唯一、原料の皮を100%調達できるのが豚革です。表面の独特のシボ(シワ)と毛穴のあとがついているのが特徴です。通気性、耐摩耗性に優れ、何かと使い勝手の良い革でもあります。
ただし、豚のイメージや、シボの雰囲気など、革小物としての人気はいまひとつ。とはいえ、タンニンなめしのアメ豚などは海外で高く評価されています。さまざまな革小物や鞄、さらに靴や財布の内装の革などによく使われています。
                                         

[1] 日本で唯一、原料の皮を100%調達できる
[2] 独特のシボ(シワ)と毛穴のあとが特徴
[3] 薄くしても丈夫、通気性があるので財布の内側にも使われる

革製品の内側に使われるのは、薄くしても丈夫で、通気性のある豚革の特性を活かした使い方でもあるのです。その性能の高さを見ると、日本が誇る革として、再評価されても良いポテンシャルを持っています。


▲耐摩耗性に優れた強く丈夫な豚革。牛革に次いで、幅広く使用される。


▲豚革は表面のシボと、よく見ると毛穴があいているのが特徴。

 

豚革を選ぶポイント
薄くても丈夫で、通気性も優れており、機能性も抜群です。デザインや使い勝手を意識して選びましょう。 


*キプリスの財布の内側(ライニング)にも豚革が使用されているものがあります。

 

3.馬の臀部(でんぶ)の革『コードバン』

馬の革を使った商品もありますが、牛や豚に比べるとそれほど数は多くありません。馬革で特に人気が高いのが、臀部の革を使ったコードバンです。
通常、革は表の面を使いますが、コードバンは実は裏の面を使った革です。繊維が非常に細かく、ツヤっとした光沢感があります。とても強靭で長持ちしますが、一頭からわずかしか取れない高級素材です。
                          

[1] 馬のお尻の革で、革の裏面を使っている
[2] 繊維が細かく強靭で、美しい光沢感が魅力
[3] 傷がつきやすく、大事に取り扱う必要あり

コードバンは、革小物はもちろん、ベルトや、高級なランドセルなどにも使われています。靴に使っているブランドもありますが、非常に高価で、人気もあり入手困難なものもあります。特に、水染めコードバンは表面に傷がつきやすいので、生産する際に最新の注意が必要。物を大事に扱える人向けの革といえます。


▲コードバン。写真は片方の臀部の革。左右の臀部の革がつながった状態は、その形から「メガネ」と呼ばれる。

 

コードバンを選ぶポイント
コードバン独特の光沢感がたまりません。黒や茶などシンプルなカラーでありながら、艶っぽさがあり、希少性の高い美しい革なので、持っていることで気持ちが引き締まるような高揚感も感じられます。

 

4.布のように柔らかい『鹿革』

英語ではディアスキンと呼ばれる鹿革は、まるで布のように柔らかく鞣されることが多い革です。その最大の特徴は、通気性の良さで、なかでも油でなめしたセーム革は水にも強く、洗濯もできるため、カメラやメガネ、車のお手入れなどにも使用されます。革小物のほか、手袋などにも使用されています。 

[1] まるで布のような柔らかさ
[2] セーム革はカメラやメガネ、車のお手入れにも使用される
[3] 日本では古くから使われてきた素材

意外にも鹿革は、日本では古くから使われているなじみのある革です。山梨県の甲州印伝や、姫路の白なめし革など、日本の伝統的な革の原皮にも鹿皮が使われています。


▲戦国武将の鎧などにも鹿革は使われていた。


▲鹿革は柔らかく、形崩れしにくい。

 

鹿革を選ぶポイント
水に強く、通気性が良いなど、機能性が優れています。また、触ったときの感触がとても気持ちがよく、布に近いような柔らかさがあり、革の概念が変わるかもしれません。

 

5.薄くて軽くてきめ細かい『羊革』

羊の大人の革(シープスキン)の最大の特徴は、薄くて軽いのに、その薄さからすると丈夫であるということ。昔から、革張り手帳の革としておなじみの素材としてご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
また、生後1年以内の子羊の革(ラムスキン)は、さらに柔らかく、高級な手袋やジャケットなどに使用されます。
                      

[1] 薄くて軽いが、比較的丈夫
[2] キメが細かく柔らかい手触り

ちなみに、同じウシ科ヤギ亜科の山羊の革(ゴートスキン)も、薄くて丈夫なため、高級手袋などに使用されています。   


▲大人の羊の革(シープスキン)。軽くて、丈夫で、触り心地も抜群。

 

羊革を選ぶポイント
なんといっても軽いのが最大の特徴です。実際、牛革などと比較して持ってみると、その軽さは歴然。なかでもラムスキンのきめが細かくなめらかな手触りは、明らかに他とは違う高級感を感じさせてくれます。

 

5.エキゾチックな模様で、頑丈な『ワニ革』

ワニ革には、斑(ふ)と呼ばれる独特のウロコ模様があります。革小物やバッグなど、使う部位によって、模様が変わってくるのも魅力です。お腹のほうは四角い形のため竹斑(たけふ)、脇腹から背中に近いところは丸い形のため玉斑(たまふ)と呼ばれます。
この斑の模様を、磨いて光沢を出す仕上げにすれば、さらにエキゾチックな存在感が際立ちます。マットな仕上げなら、落ち着いた雰囲気で、ビジネスシーンなどでも使用できるでしょう。
                      

[1] 使う部位によって模様が変わる
[2] 光沢(グレージング/シャイニング)仕上げとマット仕上げで異なる魅力

牛革などに型押しをした商品も見受けられますが、こちらは時間とともに斑の凹凸が平らになっていきます。本物は、時間が経っても、もちろん凹凸は変わりません。   


▲クロコダイルの革。お腹側の模様を活かす、背割りにした1枚革。

 

ワニ革を選ぶポイント
持った時に感じる重厚感と堅牢さは、ワニ革でないと出せません。鎧をまとうような感覚とでもいうのでしょうか。持つ人の気持ちを奮い立たせてくれます。いつかは持ちたい憧れの革小物といえるでしょう。

 

6.その他の皮について

ここまで代表的な革を紹介してきましたが、革の種類はまだまだあります。
オーストリッチと呼ばれるダチョウの革は、ボツボツした大きな毛穴の模様が特徴で、さまざまな革製品に使われています。
ワサビおろしなどにも使われる頑丈なサメの革(シャークレザー)を使った革小物もあります。同じく、表面がとても硬いエイの革(スティングレイ)も使われることがあります。


▲オーストリッチ(左)、シャークレザー(中央)、スティングレイ(右)。

 

柔軟性に富み、とても丈夫なカンガルーの革などは、スポーツシューズなどに使われています。 

さらに、エキゾチックなトカゲ(リザード )やヘビ(パイソン)などの革も個性的です。


 ▲カンガルー革(左)、リザード (中央)、ダイヤモンドパイソン(右)
 

 

動物ごとに、その機能性や表情が変わるのが革の面白いところです。ほんの少しだけ、革の素材を意識し、勇気を出して、これまで持ったことのない動物の革や、遊び心をプラスしながら革小物を選んでみてください。あなたの中の革の世界がグンと広がりますよ。

 

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