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皮からモノができるまでモノづくりの現場に密着!良い革、良い革製品を作る秘訣とは?

更新日時:2017/07/08

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※この記事は、楽天gateway journalに掲載された記事です。

牛が育つ牧場、革をつくるタンナー、革の加工工場、さらに革小物を作る革工房まで、皮から革製品がどのような流れでつくられていくのか、一連の流れを紹介していきます。どのようにして革製品が作られ、手元にとどけられるのか、モノづくりの現場に密着し、そのこだわりを探りました。

この記事の内容

  1. 「皮から革へ」「革からモノへ」
  2. 良質な牛の原皮が誕生する牧場
  3. タンナーで「皮から革」になる
  4. 加工工場で、再なめしや染色などが行われる
  5. 革工房で革小物が作られる工程に密着!

「皮から革へ」「革からモノへ」

皮からどのように革が作られ、その革からどうやって革小物が作られているのでしょうか?

今回は牛革ができる工程と、その革を使った革小物づくりの現場を紹介します。良質な革や革小物がどのようにして生まれるのか、その秘訣に迫ります。

普段なかなか見られない、モノづくりの現場は驚きの連続です。それでは、「皮から革へ」、そして、「革からモノへ」の旅に出かけてみましょう。

良質な牛の原皮が誕生する牧場

食肉用の牛から「原皮」がとれる

食肉用に育てられた牛から、革の原料となる原皮がとれる。
食肉用に育てられた牛から、革の原料となる原皮がとれる。

牧場で育てられた牛を肉にするとき、その副産物として皮がとれます。この革の原料を「原皮」と呼びます。広々とした場所で、ゆったりと育てられた牛の原皮は、傷が少なく、良質な革になります。

ヨーロッパで育った牛の原皮が上質とされますが、アメリカやオーストラリアなどの牛肉の生産量が高い国が、原皮の生産量も高くなります。日本の原皮も数は少ないですが流通しています。今回は、日本の原皮の流れを追っていきます。

皮は、人間にたとえれば肌と同じ。 ストレスフリーで育つと良質な原皮になる。

タンナーで「皮から革」になる

ドラムを使って行う「なめし」

塩漬けにされた原皮は、タンナーに運ばれます。タンナーとは、動物の皮を、くさることのない革に変えるところ。この工程を「なめし」と呼びます。

タンナーでは、ドラムという機械を使って、「なめし」を行います。きれいに洗い下処理を済ませた原皮をドラムに入れて、水と一緒にさまざまな薬剤を加えて回転させます。このようにして、原皮に薬をしみこませて腐らないようにします。

今回は、薬品を使って行うクロムなめしという方法。早くなめすことができ、劣化しにくい革ができあがります。現在生産される革の多くが、この方法で作られているのです。白くて、うっすらと青みがかっているのが、クロムなめしの特徴です。

皮から革へ変える「ドラム(タイコ)」。革の種類や量にもよるが、だいたい丸1日回転させる(左)。国産の原皮をなめしたもの。皮から革になった(右)。
皮から革へ変える「ドラム(タイコ)」。革の種類や量にもよるが、だいたい丸1日回転させる(左)。国産の原皮をなめしたもの。皮から革になった(右)。

ドラムを使って革の染色をする

次に、染色用のドラムで、革に色をつけていきます。革と水、染料を入れて、再び回転させます。色の染み込み具合は、革ごとに微妙に異なるため、時間、染料の量など、職人によって微妙な調整が行われます。

色を付けた革は数日間干し、水気をとり、色を定着させます。その後、革の裏側をけずって厚みを調整する「革漉き(かわすき)」の作業を経て、出荷されます。
染色が終わった革を工場内で干しているところ。
染色が終わった革を工場内で干しているところ。

同じ動物の皮でも1枚1枚個性がある。 それを見極め、職人の経験と勘で良い革をなめす。

加工工場で、再なめしや染色などが行われる

革を化けさせるプロ集団

革は、なめしが行われた後、製品の特性によって、さらに加工を加えることがあります。

たとえば、「すごく柔らかい革がいい」「とにかく薄い革を使いたい」「すべて同じカラーにしたい」というリクエストがあった場合、加工工場で「再なめし」や「染色」を行います。

革のなめしを「素材づくり」とするなら、革加工は「料理」に似ているかもしれません。素材と料理の両方が優れていて、はじめて良い革ができるのです。
加工工場の特殊な加工法によって、革に特徴を付加することができる。

加工工場の特殊な加工法によって、革に特徴を付加することができる。

均一な色に仕上げる

商品を作るときに、同じ色にする必要がある場合は、もう一度、染色を行います。今度はドラムではなく、スプレーによって染料を革の上から吹きかけていきます。(仕上げによって染色方法も異なります。)

1枚1枚、色の付き方が変わる革を、同じ色に仕上げていくのは、職人の技術と感性が試されます。
すでに色のついた革の上に、さらに染色をし、色を均一にする作業。
すでに色のついた革の上に、さらに染色をし、色を均一にする作業。

加工工場では、表面に加工を施したり、型押しをしたり、オーダーに応じてさまざまな加工を施します。

革の裏側をけずることで厚さを調整する革漉き(かわすき)のプロの中には、新聞紙(厚さ0.05㎜ほど)の紙をさらに2つに漉いて、2枚の極薄の紙にしてしまえるほどの技術を持つ人もいます。

そのような卓越した技術を持った職人たちによって、日本の革づくりの現場は支えられています。
革に熱を加えて、色や薬品を定着させるプレスの作業。
革に熱を加えて、色や薬品を定着させるプレスの作業。
オーダーごとに、さまざまな技術を駆使し、 料理をするかのように、最高の革を仕上げる。

革工房で革小物が作られる工程に密着!

革をカットして、パーツを作る

いよいよ革が、革工房に到着しました。今回は、モルフォ株式会社のブランド「キプリス」の長財布の製造工程に密着しました。

この革は、原皮は国産のものを使用し、さきほどのタンナーと加工工場で作られた革。

生後3カ月の仔牛から作られたカーフは、成牛の革(ステアハイド)の大きさの3分の1ほどしかなく、傷が少なく、きめ細かい高価な革素材です。
1枚革のカーフ

1枚革のカーフ。モルフォ株式会社では、レーニアカーフと命名。成牛の場合はサイズが多いため半分にカットした状態で届けられる。

革財布は、パーツごとに作っていく

それぞれの革小物には型紙があります。それを革の上に置いて、革包丁を使ってカットしていきます。

切り出したパーツにさまざまに手を加えます。外側に来る革のパーツの端の部分を、革漉き機で薄くそいでいきます。これは後ほど、革財布のパーツを組み合わせるときのための準備工程です。
革包丁で裁断する手断ちの工程(左)。革漉きによる漉きの工程(中)。角は手漉きで行う。厚みは0.1mmほど。(右)。

革包丁で裁断する手断ちの工程(左)。革漉きによる漉きの工程(中)。角は手漉きで行う。厚みは0.1mmほど。(右)。

パーツをひとつに合体させる

革財布の外側のパーツと、財布の内側のパーツ(札入れや、カード入れ)を、それぞれ革専用の水のりや縫製によって組み立てていきます。
内側のパーツをぬい合わせていく。
内側のパーツをぬい合わせていく。

最初に作った財布の外側のパーツに、財布の内側のパーツを、水のりで張り付け、裏側の一部にミシンでぬいます。
パーツが合体して、財布らしい姿に。さきほど漉いた部分だけが、周りにはみ出ている状態。

パーツが合体して、財布らしい姿に。さきほど漉いた部分だけが、周りにはみ出ている状態。

へりの部分に、はみ出さないようにのりを塗っていきます。そして、へりの部分を折り返して、貼り付けていきます。これによって、へり返しと呼ばれる作業です。
のり引き(左)と、へり返し(右)の様子。これは内側のパーツの縫い目が隠れる「忍び縫い」という製法です。
のり引き(左)と、へり返し(右)の様子。これは内側のパーツの縫い目が隠れる「忍び縫い」という製法です。

革小物の細部にこだわる

キプリスの財布の中には、角の部分に菊寄せという処理をほどこしたものもあります。これは使い勝手に影響するものではありませんが、見た目の美しさを感じられるこだわりです。9本のきざみがきれいに並んだ状態が理想の形とされる、かなりの技術が求められ手法です。
菊寄せをしているところ(左)。完成した菊寄せ(右)。
菊寄せをしているところ(左)。完成した菊寄せ(右)。

男性向けの革小物には、ネン引きという工程もよく入ります。これは熱をいれた金具で、財布の端の部分をなぞる作業で、うっすらラインをつけて引き締まった表情にしていきます。
菊寄せをしているところ

ネン引きをしているところ。(玉ネン)

革小物の完成。そして新たな物語の始まり

このようにして、さまざまな工程を経て、「皮から革」「革からモノ」が作られていきます。売り場に並んでいる革小物は、このようなストーリーをたどっているのです。

その根源には生命があり、その工程には多くの人の想いやこだわりが込めれています。そして、そんな革小物を購入した人とともに、新たな物語が紡がれていくのです。
国産原皮で作ったカーフを使用して、熟練した職人が仕上げた革財布。
国産原皮で作ったカーフを使用して、熟練した職人が仕上げた革財布。

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